中国から その2 磁石の開発事情

昨日から国際会議が始まりました。

まず磁石に関する研究発表を聞きました。
China’s Rare‐earth Permanent Magnet Industry
(中国における希土類金属永久磁石産業)という題目で、
中国の方の発表でした。学術的な話ではなく、中国の状況の紹介でした。

この希土類磁石というのは、希土類(レアアース)という希少金属を使った
世界最強の磁石のことです。
希土類磁石は、SmCo磁石(サマリウムコバルト磁石)と
NeFeB磁石(ネオジム磁石)がありますが、
SmCoは、1976年に日本人によって実用化、
NeFeBも、1984年に日本人によって発明されています。
世界で最強の磁石は、30年たった今でもNeFeBで、
モーターなどの用途でたくさん使われています。
この発明の産業への影響は大きく、発明者の佐川氏は、ノーベール賞を受賞されるかもしれません。
一方、SmCoは、NeFeBよりも高温での特性が良いという特徴があります。

さて、先の中国の方の発表についてです。
中国で希土類磁石の生産が飛躍的に伸びていること、
希土類磁石の応用がこれからも拡大する見込みであること、
中国に希土類が多く存在していること、労働力も安いことなどから、
希土類磁石の生産には有利なことが語られました。
特に、印象的な話は、大規模風力発電用の発電機内の磁石としての活用でした。
中国なら風力発電をいっぱい立てられそうです。
(会場の海南島は風が強いです)

まもなく、日本の磁石の製造特許が切れると聞いていますし、
この分野でも、中国がますます強力な競争相手になりそうです。
メイドインジャパンの技術を使っているのに
負けてしまうのは残念です。

そういうわけで、ここ数年、磁石の研究に関して国も力を入れています。
30年間、記録が更新されていない新しい磁石を、また日本人が開発する日が近いことを願っています。